てんかんの治療
治療はまずは薬から始めますが、実は薬には脳の傷(傷あと)を治す効果はありません。
しかし、薬には、発作をおさえる効果があります。発作をおさえることで、何も支障なく生活することができます。
てんかんの患者さんのうち、6-7割の方は薬を飲むことで発作をおさえられます。
薬を合わせるのにどれ位時間がかかりますか
薬を調整するには3か月~1年くらいかかります。
発作型と脳波所見を見て、ガイドラインにしたがい薬を選択し、少量から始めて少しずつ増やします。なぜ少量から始めるかというと、そのほうが眠気などの副作用が出にくいからです。
少量の薬で発作の止まるかたもいらっしゃいますが、より増やす必要のある方もいらっしゃいます。その方にあった薬の種類と量を見つけるには、ある程度時間が必要です。3か月~1年くらいを目安に考えてください。
お薬で治療がうまくいかない時
2,3種類の薬を試してみても、まだ発作をおさえられないかたが、てんかんの患者さん全体のうち3,4割ほどいらっしゃると言われています。薬でおさえられない場合は、難治性のてんかんとして、てんかん外科治療を行っている病院にご紹介しています。
薬はいつやめられますか
3年間続けて発作がみられず、また脳波も良好である場合、薬を少しずつ減らすことを考えます。
しかし、大人のてんかんは、3年経過良好の方であっても、薬を減らすと30-40%の人が発作の再発することが知られています。
特に、過去に何度も発作を起こしている方や、現在も脳波上てんかん性の波が出ている方の場合は、再発する可能性が高いです。
このため、薬を減らすかどうかについては、たんに発作がないだけでなく、患者さんの仕事内容やライフスタイル、車が必須かどうかなどもふまえて、患者さんと医師とが話しあって決めます。その結果「発作は落ち着いているが薬を続けよう」という選択をする方も多いです。
話し合いの結果、お薬を減らす場合は、脳波をみながら少しずつ減らします。薬を一気に中止すると発作が起こりやすいので、慎重に減らす必要があります。
規則正しい生活と十分な睡眠も大切
発作は薬だけではおさまってくれません。薬のほかに、規則正しい生活と十分な睡眠があってこそ、発作を抑えることができます。
こればかりはクリニックだけではどうにもなりません。患者さんご自身に、規則正しい生活と十分な睡眠を守るよう、協力いただくほかありません。
患者さんが治療の主役です。当院がお手伝いいたします。二人三脚でいきましょう。